2019
鍛治先生は強引な俺様キャラなので、迫られる前から一緒にいるとあがって緊張しているのが分かりやすいです。
そして小早川が
2019
2019
さっそくBLの話をします。去年のことですが、10年続いた連載で全8巻に及んだ名作、日高ショーコ先生の『憂鬱な朝』(徳間書店)が完結しましたね。
まだ日本に華族制度があった時代、10歳で子爵家を継いだ久世暁人(くぜあきひと)と、彼の教育係件家令の桂木智之(かつらぎともゆき)の、愛と葛藤を描く大河ドラマみたいな大作です。
ちかごろのBLを嗜む方で日高ショーコの名を知らぬ人はいないでしょう。少し前に映画化もされた『花は咲くか』など、美麗で繊細な作画と読み応えのあるドラマで大人気作家さんの一人です。(実際は作画とストーリー担当が分かれている2人組らしい)
写真は、このお話の舞台にもなった時代に建てられた、上野の旧岩崎邸。三菱財閥の礎を築いた岩崎家ですね。今は庭園として整備され、公開されています。漫画はフィクションですが、登場する建物はこれを参照して描かれており、この写真は以前友人と行ってみたときに撮ったものです。
屋内のつくりもまったく漫画と同じ…というか漫画が同じように描いているのですが、華麗なる時代の雰囲気、格調高い世界観そのままで、感激したのを覚えています。
さて、このお話は今よりももっと家系や伝統や常識に縛られて閉塞感のある時代です。男同士の恋愛は許されないどころか、政略結婚なんて普通だし、生き方を選べないどうしようもなさに打ちのめされたり。
そこに、複雑な出生の秘密や、親子の葛藤、華族と財閥の微妙な駆け引き、企業ものの面白さも加わり色々と盛りだくさんです。が、すべてがちゃんとドラマに生かされており、一つの面白さとして集約されて読者を引き込んでいきます。
途中の巻は、血縁関係やらそれぞれの思惑がけっこう複雑で、真剣にていねいに読まないとワケが分からなくなりそうなのですが、それも読み応えのひとつでした。最終的に、この2人がどう幸せになるっていうんだい?と、タイトルからして悲しい終わり方を想像したときもありました。
あまりネタばれしてしまうのもなんですが、2人が才覚を発揮してそれぞれに独立し、なんというんでしょうかね~男の名誉?も、家名も、愛も守りつつ、幸福なラストに持って行ってくれました。なんと素晴らしい。今回、特別おすすめはしないです。もう、私が満足だった!それ以上何を言うことがありましょう。
2018
綺麗な絵で読みごたえのあるBLが見たくなったとき、一ノ瀬ゆまの『gift』が超絶オススメです。
正式なタイトルを並べると、
『gift (上) 白い獣の、聞こえぬ声の、見えない温度の、』
『gift (中) 赤い桎梏(しっこく)の、約束の場所の、望んだ十字架の、』
『gift (下) 薄紅(うすべに)めく空の、潤(ほと)びる螺旋(らせん)の、光る岸辺の、』
いや、ながっ!
って、なりますよね(笑)
私も最初は「桎梏」(手かせ足かせの意)とか読めないし、ちょっとスルーしていました。
でもこれ、完結してみると、本当に内容をちゃんと表現しているんだな~としみじみ。
父親が運営するジムのトレーナー、御子柴宥(みこしばゆたか)・24歳と、酷い虐待を受けて育った19歳の美少年・白石勁(しらいしけい)の物語。
宥は、本当は選手として父の期待に応えたかったものの、トレーナー止まりであること、ゲイであることを隠しているという、コンプレックスの強い人物です。そんな彼が、路地裏で人を殴っている勁と出会い、やがてボクシング選手とトレーナーという関係に。勁は感情のない獣のような人間でしたが、宥との出会いで変わっていきます。
しかし複雑にこじれた精神は、成長が止まったまま。宥の望むような勝てるボクサーにならないと必要とされないと思い込み、2人の関係は思わぬ方向にねじれていきます。
私が思うこの作品の名作ポイントは、
・めちゃめちゃ絵がきれい。白石勁の凄みのある美しさに見入ってしまう
・ボクシングの知識をかなりしっかり取材していて、切ないストーリーにそれが生きている
・幼児虐待によって精神に致命的な傷を負った人の内面を、マンガで分かる形で誠実に描いている
作者は、かなり力を入れて作品を練って仕上げていることがよく伝わってきます。本当に、「人を傷つけるのは人であり、人を癒すのもまた人である」ということを、改めて痛感するお話です。
私が利用している電子書籍サイトでは、発売日当日で300以上のコメントがつき、★は平均4.5と非常に高評価。
冬の休暇の合間に、3巻一気に同時購入してみては?と自信をもってオススメできる作品です。
2018
先日、この秋に出た新刊『愛情こわい』を読んだのですが、うーん、ちょっと今ひとつでした。ある大人がビッチでフラフラしている若者を飼育するという設定なんですけど。
飼育自体はよくある設定なのでそれはともかく、後に明かされるそこに至る大仕掛けが人権無視すぎて納得いかない感じでした。別に道徳的である必要はないと思うのですが、ちょっと無理がないかい・・・と。
しかし、人気作家らしくたくさん書いておられるので、色んな作品があるよなあと。
これまで読んだ中で好きなのは、遊び人の社会人と「恋愛感情が分からない」という大学生のお話『HEARTY』(2016年発刊)ですね。恋愛に本気にならずすべて自分の思い通りにしてきた大人が、少しずつ純愛を求めていく様子が丁寧に描かれてニヤニヤしちゃいます。
AV男優と製作者の恋を描く『ドリームランド』もいいし、秀逸な短編ぞろいの『恋は現実主義で夢みがち』も、一見地味なのですが好きです。(3冊とも大洋図書・H&C Comics ihr HertZシリーズ)
わりと、すれた大人がピュアな若者にほだされるという枠組みの話が多いのですが、このピュアさに私もやられる…という感じです。私もすれた大人だからでしょうか!