BL漫画・小説の感想、主婦の日常雑記
2018
「節約」って大事ですよね。でも節約ばかりしていても楽しくないし…という葛藤を上手いこと描いて面白いのが、BL小説『家計簿課長と日記王子』(海野幸/二見シャレード文庫)です。
電機メーカー・購買部の課長、室木周平(むろきしゅうへい)34歳は、「節約命」で、なんと家計簿をつけるのが日課。ある日会社の寮が火事になり、同社営業部のイケメン、「王子」と噂される伏見和親(ふしみかずちか)とルームシェアすることに。
伏見はごく普通の消費感覚の持ち主なので、朗らかにお金を使います。そんな伏見をハラハラ複雑な思いで見る周平には、気軽にお金を使えなくなった幼い頃の思い出がありました。
でも、その気持ちを伏見が「使ったらまた働いて稼げばいいんですよ」と自然にほぐしていくのが素敵です。
伏見が買ってきたコンビニのケーキを、
伏見が買ってきたコンビニのケーキを、
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2018
もう秋だなと思っていたら、いきなり真夏日になった日がありました。寝室のエアコンが、清掃を失敗してそのままにしてしまいつけられなかったので地獄でした。秋なのに夏の様ってどういうこと~。
そんな暑さの中で思い出したのが、“夏の高校生”名作BL『化学部メガネ』(新井煮干し子/茜新社)です。それぞれメガネ男子の鮎喰(あくい)と、佐古(さこ)の仲良し同級生が繰り広げる青春もの。男子高校生のアホと表裏一体の純情がみずみずしい一冊です。
夏の部活といえば運動部で、暑い上にも熱い話はよくありますが、こちらはバリバリの文科系。エアコンの効いた室内で活動していますので、汗臭い感じはまったくありません。というより、暑さの中にむしろエアコン不要の爽やかさがあります。
「つき合うという経験をしてみたい」という、無茶な動機ときっかけで付き合い始める二人。
途中、そんな二人をみて聡明な先輩が
途中、そんな二人をみて聡明な先輩が
2018
BL作品は、私のようにひそかな楽しみとして嗜んでいらっしゃる方が多いはず。
ところが、いまや200億円規模にも成長したサブカル。テレビなどの公のメディアも放っておいてはくれません。
しかしどうも2014年くらいから、やけにテレビや一般の雑誌が取り上げ、テレビドラマ、アニメ化や実写映画化もガンガンされているような。テレビ朝日の「お願いランキング」でも特集が組まれて、BLファンがざわつきました。
今年の3月には宝井理人先生方の『テンカウント』(新書館)が、最終6巻の発売とともにテレビアニメ化が発表され、ファンの間に激震が走りました。ここ数年、「このBLがすごい!」ランキングには必ず上位に入る名作です。
このお話は、潔癖症の社長秘書・城谷と、無愛想なカウンセラー・黒瀬の関係を描くもの。
潔癖症の人がどんな生き辛さを抱えているかもよく分かり、さらに
潔癖症の人がどんな生き辛さを抱えているかもよく分かり、さらに
2018
『やさしいあなた…』(茜新社)は、ストーリーテラーとして名高い西田ヒガシ先生の「ヤクザもの純愛」の名作です。「BL史上に残る最高の結末!」と帯にあるのが大袈裟ではないです。展開の巧みさに舌を巻く面白さでした。
馴染みのバーで出会った春本と水田は、お互い「紳士」として振る舞います。趣味も外見の好みも合い、デートは映画に誘うなど、中学生のような純情な恋心でどんどん惹かれていく2人。しかし、実はお互いヤクザとその関係者、しかも敵対組織で…。
馴染みのバーで出会った春本と水田は、お互い「紳士」として振る舞います。趣味も外見の好みも合い、デートは映画に誘うなど、中学生のような純情な恋心でどんどん惹かれていく2人。しかし、実はお互いヤクザとその関係者、しかも敵対組織で…。
私が思う名作ポイントは、
・お互いの素性を隠して関係を守ろうとする2人の正体を、読者だけが知っていてハラハラドキドキ!
・正体が分かる瞬間の緊張感が最高で、映画みたいなドラマチックな展開にゾクゾクする!
・狂気的でゲスな人間であることが分かる描写と、清らかな世界にあこがれる純情な人物像がギャップ萌え!
汚い世界にいるからこそ、自分の中の純な部分を相手に投影していく描写はみごとです。泥沼から青空に手を伸ばす憧れと諦めが分かり、切なさに悶絶します。
ラストは帯の通り、「最高の結末」です。ちょっとご都合主義の感もありますが、お互いの愛情が究極まで煮詰まった結末にニヤリとしちゃいました。
シリアスな話だけど、遊び心のあるギャクセンスもあってサービス精神満点。西田先生の漫画は色々読んでいますが、これが一番好きですね。長年書いてらして全然腕が鈍らないどころかますます上手くなる作家性がすばらしい。
2018
この『ひだまりが聴こえる』(文乃ゆき/プランタン出版)は、難聴のせいで人と距離を置く大学生「航平」と、同じ大学の同級生で陽だまりのように明るい「太一」が紡ぐ、ピュアで繊細なお話です。実写映画化もされました。
人は「全盲の人」「まったく耳が聞こえない人」に対しては、気を使わなきゃ、助けなきゃと考えるものでしょう。でも、耳が聞こえないわけじゃない「難聴」の人に対しては、どの程度の距離感で付き合ったらいいかわからないものだと気づかされます。
難聴の本人も、少しは聞こえるからといって、辛くないわけじゃないのです。聞こえないだけなのに無視したと誤解されたり、何度も聞き返すことで疎まれたり。だんだん人付き合いから遠ざかってしまう。私は以前、知り合いにこういう人がいて、嫌いなわけじゃないけれど話しかけづらかったのを思い出して、余計に共感しました。ここを掘り下げるのか!という繊細な心情がていねいに描かれているんですよね。
人は「全盲の人」「まったく耳が聞こえない人」に対しては、気を使わなきゃ、助けなきゃと考えるものでしょう。でも、耳が聞こえないわけじゃない「難聴」の人に対しては、どの程度の距離感で付き合ったらいいかわからないものだと気づかされます。
難聴の本人も、少しは聞こえるからといって、辛くないわけじゃないのです。聞こえないだけなのに無視したと誤解されたり、何度も聞き返すことで疎まれたり。だんだん人付き合いから遠ざかってしまう。私は以前、知り合いにこういう人がいて、嫌いなわけじゃないけれど話しかけづらかったのを思い出して、余計に共感しました。ここを掘り下げるのか!という繊細な心情がていねいに描かれているんですよね。
大学の講義がよく聞き取れない航平は、ひょんなことから知り合いになった太一にノートテイクを依頼します。ノートテイクとは、簡単に言えば講義のノートを取ること。字が汚い太一でしたが、なぜか声がはっきりと聞き取りやすく、太一といるときだけは心穏やかに過ごせる航平でした。
しかし、少しずつ耳の状態が悪化。航平は太一の声が聴こえなくなることにおびえ、自分の気持ちが抑えきれなくなり…。
ここからは是非実際に読んでみていただきたい!身体の接触がほぼ無く、「BがLしていない」とも言われる作品ですが、航平のピュアな思いにぐっときます。大好評につき続編もあり、今のところ3巻まで出ています。そちらも間違いなく名作です。
プロフィール
HN:
隠れBL読み
性別:
非公開
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