2018
今、NHKで雲田はるこ先生原作のドラマ「昭和元禄落語心中」がやっていますね。もちろんBLではありませんが、ドラマチックなストーリーと濃厚な人間ドラマ、魅力的なキャラクターなど、雲田先生作品の醍醐味が遺憾なく発揮されていて毎週楽しみに観ています。
ということで、色々と好きな作品はあるのですが、何気ない日常を描く「日常BL」として名高い「いとしの猫っ毛」(雲田はるこ/リブレ出版)。良いですよ。ほんとうに。
幼なじみの「みいくん」と「恵(けい)ちゃん」の恋愛を描くこちら、5巻完結なのですが、幼い頃の出会いからつき合うに至るエピソードを描いた「小樽篇」と、最近発売された「番外篇」もあります。
先日は番外編を読む前に「小樽篇」を再読して、また感動しちゃいました~。
社会人で、東京で一緒に暮らし始める本編ももちろん面白いのですが、北海道を舞台に2人の出会いから高校生までを描くのが小樽篇です。日常のほっこり感が楽しい本編よりも、若者特有のシリアスな葛藤や家庭の事情が分かり、ふたりの絆の強さが胸に迫って本編がさらに面白くなるというシロモノです。
小さい頃の、自己紹介の場面がもう可愛いんですね。恵ちゃんが、「みさぶろう」と言えずに「みちゃぶろ?」「みさむろ?」と言い間違え続けて、結局「みいくん」に落ち着くくだり、みいくんはここからもう恵ちゃん大好きになっています。だいぶ微笑ましいです。
一途に恵ちゃんを思い続けるみいくんが、「友情」と「家庭の事情」を乗り越えて、いかに思いを実らせるかが見どころです。けっこう自分勝手な行動や思い込みが激しいみいくんを、大きな包容力で包み込む恵ちゃんがまた素敵。そんな恵ちゃんが一見天然なゆるふわ男子っぽいのも魅力のひとつです。ぎすぎすした日常に嫌気がさしたら、ぜひ癒されに読んでみて欲しいです。